2011-10-28



標高216m。
沖縄最高峰 於茂登岳でさえ標高526m。
火山性ではない島なので山自体は比較的、低山ばかり。

human powerとnature powerでlow impactそしてsilentな遊びがすきだ。
とりわけハイキングは過去、様々な経験をし色々なフィールドを歩いてきた。
「僕は山が得意だ」・・・


屋良部岳 山頂には「神の舌」と言われる大きな一枚岩が鎮座し、そこからの景色は
まさに絶景と聞いていた。
ガイドブックには林道からのショートカットアプローチがあり20分程度で山頂まで
登ることができ、本コースも40分程度で踏めると記載されていた。

前日、林道を登ったが山への入り口が見つからず断念していたので
今回は必ず登頂すると意気込んできた。
林道からも頂きを見ることが出来る

「整備された遊歩道」を「散歩がてら」適当に目星をつけ山へ踏み入れる。
生い茂った木々から時折、強烈な光が差し込む。
倒れた巨木のトンネルをくぐり しばらくすると大きな岩がいくつも
重なり急に地形が変化してきた。
徐々に高度を下げているようだがコルだと思い込んでいた・・が
間違いに気付きすぐに稜線を上がった。
藪を漕いでもいつまでも視界は開けずウロウロと右往左往し、遂には2秒前に踏んだ場所まで
判らなくなってしまった。
絡まる弦は行く手を阻み、切れ味鋭く腕を刻む。
「迷った」「引き返すことができない」
完全に甘く見ていた。

森林限界以下で展望は効かない。
パニックで思考が停止する・・

崎枝半島は外周を車道が通っており、そこまで降りればグルリと帰れる。
とにかく海へ出なければ・・・

沢。
最初に見た大きな岩は沢の始まりで枯れた水場だ。
なりふり構わず下りながら岩を探すことに・・
するとかすかに水の滴る音が聞こえだし、次第に大きくなる。
本流をついに見つけた!
時間にして3時間、もっと長く感じたが流れに沿って下れば助かる。
しかし、ほぼ垂直に降りる箇所がほとんどで体力を消耗する。
踏み石を間違え、足首が捕まり身動きができない。
落石が瞼をかすめ流血まで始まる。
物事を判断できないハンガーノックなのか?

水の音に混じり波の音が聞こえてくる。
視界に何かが横切ったような気がした、何度も何度も。
しばらくしてそれがレンタカーであることを確信した。
助かった・・
がボロボロの服に目が隠れるほどの腫れ、
所々流血した身体で突然山から出てきた僕を乗せてくれるはずもなく
民家も無いので再び歩き出すことにしたが、身体が動いてくれない。
這うように進み、やっと見つけた自販機は動かない。
崎枝のサーフスポットを通り初めて半島を横断した事に気づき帰路を思うと
また落ち込んだ。

御神岬付近でやっと水分補給することができ、時折通過する観光客など
構わず浴びるように飲み続け少し元気になった。

__________________________

スタート地点に止めた車が見えたその時
微かなトレイルが・・・標識など全くなく
色褪せて木と同化したテーピングにロープまで。
こんな所に・・・誰が分かるものか!!
こうなったら登れという事だ。


先ほど通った御神岬の白い灯台がかすかに見える
「神の舌」の上から

屋良部岳 標高216m 
今まで登った山で一番厳しい山になり、そして一番の絶景を持つ山となった。

「僕は山が好きだ」・・・